ものは試し。

こころの赴くままに

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部屋を追い出された(貧乏は辛いよ②

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karariです。

 

帰宅したドアのには、部屋の中にあるはずの私物が全て出され、山のように積み重ねられていた

 

前回の記事をお読みくださった読者様、我が目を疑った光景の予想は当たりましたか?

中途半端で終わらせてしまい、すみません🙇気力が持ちませんで💧お許しを

 

*補足:今では考えられませんが、当時は未成年でもアパート貸してくれるところがあったんですよね。キッチンもなくお風呂もない、ただ雨風がしのげるだけの部屋でしたけど。

 

続きです...

monowatamesi.hatenablog.com

 

廊下に出されていた私物...

 

一体、何が起きているのか...

 

部屋の中はどうなっているのか、入ろうと鍵を開けようとするが鍵が鍵穴に入らない。何度試しても鍵が鍵穴に入らない...

 

そして気づいた。

 

ドアノブが取り替えられている...

 

おばあさんだ...

出ていけということか...

 

スクールに行っても食べてはいけない。

そんなこと辞めて、美容師になりなさい

新聞が配達された朝、早くにバイト先の喫茶店に入ると、朝刊からその紙面だけを抜き取った

 

バレていた  

 

怒ってくれれば、叱ってくれたら

言い訳することも、謝ることも恨むこともできる

そんな感情を持つことさえ許さない

 

おばあさんは怒ることもなく、部屋の中から私物を出し、入れないようにドアノブを変えていた

 

仲間って。いったい...

 

どうやってそこにたどり着いたのか、何故、付き合っていたわけでもないK君のアパートなのか記憶にない 

 

次のシーンには、K君のアパートにスクールの仲間が集まっている 

 

突然寝るところがなくなり、K君を頼りにアパートに行き、困り果てたK君が仲間を呼んだと思われる 

 

そこにはTちゃんもいた。スクールではちょっと先輩、年齢的にはちょっと年下の美人さん  

 

何があったのか、どうしたのか...

 

説明できる状態ではなかった 

 

その日から毎晩、K君のアパートに集まっては、とりとめもない話をして夜を明かしていた

 

それぞれがそれとなく集まりだす光景は、まるで見守り隊でもあるかのようだった

 

横に転がって寝る者、壁にもたれ掛かり寝る者、体操座りのまま寝る自分  

 

朝になるとそれぞれ職場に向かう 

 

きつい思いをさせてしまったのだなぁ... 

 

イベントの企画もこうした仲間とだったら、新聞に載ったくらいで逃げ出したりはしなかったのかも...

 

 

みんなが仕事に出ている間、廊下に出された私物を要る物と要らない物の仕分けをし、寝るところと職を探す...

 

当然、茶店のバイトには行けない 

 

寝るところ優先の職探し 

 

いったい何日K君のアパートにお世話になったのか定かではない

 

東京で寮付きの仕事が決まった。

後に、昭和5年創業から現在まで続く優良企業だということがわかった。社員として入社出来たことは運が良かったとしか言いようがない 

 

住むところが決まり、4回目の引っ越し 

 

廊下に出され仕分けしていた私物要らない物は全部処分してください」と引っ越し屋さんにお願いし、山のように積み重ねられていた私物はきれいになくなった 

 

鍵が落ちた乾いた音

 

引っ越しの前日、おばあさんに宛てた手紙と鍵を持って挨拶に向かった

 

おばあさんから発する言葉はない。

 

ごめんなさいでも有難うでもない。ただ、美容師にはなれないこと、やってみたいことがあった...それだけを書いた手紙を渡したかった

 

おばあさんは手紙を受け取ってくれた

 

鍵を渡そうと差し出した。おばあさんも受け取るかのように手を出した

 

その手のひらに鍵を渡そうとした瞬間、おばあさんは手を引っ込め、鍵が喫茶店の床に落ち乾いた音がした

 

不要となった落ちた鍵を二人とも拾うことはなかった 

 

東京へ

仲間が新幹線のホームまで見送りに来てくれた 

 

Tちゃんは泣きながら手紙をくれた

 

ドアが閉まり、走り出した新幹線のデッキに立ち、Tちゃんからの手紙を読んだ

 

どうやら夢を叶えるため東京に行くのだと思っているらしい...

 

(そうじゃないんだよ。住むところがないんだよ)と手紙を読みながらボロボロと泣いていた 

Tちゃんにこの事実を話せたのは、つい数年前

 

その後、いくつかの引っ越しがあり、現在の夫と結婚し長男が生まれたころ...

 

おばあさんに電話をしてみた

 

ご健在なのだろうか...

 

落ちた鍵の乾いた音が残ったままになっていて...

 

おばあさんは電話に出てくれ、覚えてくれていた

 

以前より優しい声…

 

結婚したこと子供が生まれたことを伝えると

 

「幸せで良かった」といってくれ、胸につかえていたものがスーッと落ちるように涙も一緒に流れて来た

 

えっ?どうしたの、幸せじゃないの?...

 

いえ、そうじゃなくて...

 

おばあさん、あの時はごめんなさい

有難うございました

 

電話を切っても涙は止まらず、涙と共に部屋を追い出された過去は洗い流された...

 

-おしまい-

 

捨てる神あれば拾う神あり。多くの拾う神に助けられて来ました

 

昭和の一コマ。拙い文にお付き合いくださりありがとうございます

引っ越しの数、間違えているかも...

 

ではでは、またいらして下さいね☆